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 振り返れば、60年の役者人生は命綱なしの綱渡りのようでした。一歩足を踏み外せば、真っ逆さま。黒沢明監督の映画「乱」では、撮影で6億5000万円のかかった一発勝負がありました。 それは息子たちに裏切られた戦国武将、一文字秀虎が狂気に陥り、燃え上がる城からさまよい出るヤマ場の撮影です。石垣は高さ6メートルもの急勾配で、石段を数えると22段もある。口を開けて見上げていると、黒沢監督がこう言うのです。「秀虎は気が狂って出てくるんだから、やっぱり足元を見るのはおかしいでしょう。宙を見つめたままストン、ストンと漂う 35週間前

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